こんにちは。元目黒区議会議員でissuesメンバーの田添です。今回は、ブログ3本目にして初めて私の目線から見た役所の仕事の姿勢についてお伝えしようと思います。民間企業と行政の違いを改めて認識することで、官民共創を実現するための壁を乗り切る方法を一緒に考えていきたいと思います。
〜これまでのブログ〜
1️⃣ 自社サービス・製品を行政視点から見てみませんか?
2️⃣ 自社サービスと自治体をつなぐヒントは【地方議員】にあり
行政と民間の違いは様々ありますが、当たり前のことでやはり大事なのが行政は「税金」を徴収して事業を展開していることです。民間であれば、売上や利益、そして株主への配当金などが評価指標になりますが、行政ではどの言葉も使われることはありません。だから役所は楽でしょ!というわけではなく、行政は失敗が許されないのです。国から都道府県から、様々な仕事が降りてきますが、失敗は許されず、専門的な知識が必要なことも多く、プレッシャーの大きな仕事です。また、民間であれば事業に投資をしてうまくいかなかった、売上・利益が獲得できなかった、となった場合は損切りすることもあると思います。しかし、行政では「税金」を使って事業を展開して失敗しても損切りなんて言葉はなく、議会から指摘され、永遠に残る議事録に公の発言として刻まれるという不名誉な事態になります。
失敗を避けるがあまり、以前から続いている事業を続けていく、過去に成功例がないと取り組まない「前例主義」が発生します。以前、議会で質問をした際、行政から「前例がないことから、引き続き調査研究を行っていきます。」という答弁をもらったことがあり、進展しなかった提言もあります。
では、役所が新しいことを始めるときのきっかけは何か。嬉しくないパターンは、災害や事故などによるものです。新型コロナウイルス感染拡大で、世界中でリモートワークが広がったように、役所もリモートワークや非接触、そしてDXが進みましたが、あのような事態は二度と起きてほしくありませんが、変化が起きたことは事実です。他にも、国が法改正や交付金などで自治体に事業を展開させたり、トップである首長の公約から動くこともあります。
そして、行政が課題をしっかり認識し、解決しようと動く時、それは「当事者の声」「住民の切なる願い」が届いた時です。私自身、「当事者の声」で役所が動いたと思った瞬間は何度もあります。保育園に入れなくて仕事を辞めた保護者の声、難病になり働けなくなった方の声、たくさんの声をお預かりし、届けてきました。実際に困っている人がいること、願っている住民がいることは、役所にとって事業を行う動機となります。住民が直接行政に声を届ける仕組みもありますが、複数の声を集めて届けるとより大きな力となるので、議会や議員は住民に「あなたの声を聞かせてください」と声を集めるために呼びかけます。
課題を解決してほしい!という声を挙げる当事者・住民を増やしていくことに、issuesはこだわってきました。もともとissuesは住民と地方議員をつなぐプラットフォームを運営しています。私自身も議員としてそのプラットフォームを活用してきました。
役所の「前例主義」という壁は厚く見えますが、住民の声が届いたとき、行政は動きます。自治体営業の根底には必ず「課題解決」があります。その御社による「課題解決」をしてほしい!という住民の声を集めましょう。それが壁を打破する投石となっていきます。どのように声を集めていくのか気になった方は、事例を交えながらご説明させてください。
(「縦割り行政」の壁については次回のブログでお届けします。)