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議員との連携で政策実現!企業が知っておきたい官民共創のリアル

作成者: issues運営事務局|Jun 23, 2025 7:00:00 AM
 

企業の皆様、日々の事業活動を通じて社会課題の解決に貢献したい、新しい取り組みを行政と連携して進めたいとお考えでしょうか。

その際、「誰に相談すれば良いのだろう?」「どのように進めれば良いのだろう?」と悩むことはありませんか?

実は、自治体議員は、企業や住民の皆様と行政との社会課題に対する接続支援を通して、政策実現を後押しする重要な役割を担っています。

本記事は、2025年5月7日に開催された「【issuesウェビナー】【防災・ペット関連企業 必見!】『災害時ペット避難協定』締結議員が明かす、自治体連携と協定実現の"リアル"」で、墨田区議会議員のかのう進氏と対談した内容を基に構成しています。

墨田区における「災害時ペット避難協定」の事例を中心に、議員がどのように民間企業・団体と連携して政策を実現していくのか、そのプロセスと企業が連携を考える上でのヒントをご紹介します。

 
 かのう 進 氏(墨田区議会議員)
ペット同伴可能な避難対策の推進にて、2023年2月の予算特別委員会での質疑や、墨田区内の専門学校の紹介を通じて、墨田区が同校とペット同伴避難支援に関する協定(23区初)を締結する上で重要な役割を果たす。公明党所属

 

 

なぜ、政策実現に「議員との連携」が重要なのか?

自治体の政策は、首長や職員の方々が立案・推進しますが、議会での予算承認なしには多くの政策は実行に移すことができません。議員は、自治体における政策形成プロセスにおいて、企業や住民の皆様の声を政策に反映させ、円滑な推進を後押しする重要な存在です。

また、議員は日頃から住民の皆様の声や地域の課題に触れており、企業が持つ優れたソリューションを行政のニーズや住民の課題解決に繋げる上で、行政との接続支援を果たすことが期待されます。

事例で見る政策実現の道のり:墨田区での災害時ペット避難協定

墨田区議会議員のかのう進氏は、特にペットの同行避難対策に尽力されています。墨田区で実現した「災害時ペット避難協定」は、議員が官民連携を推進し、政策を実現した好事例と言えるでしょう。

 

1.課題認識と調査

東日本大震災や熊本地震の際、飼い主とはぐれたり、取り残されたりするペットが多数発生したことが、課題認識のきっかけとなりました

きっかけについてこのように語るかのう氏は、当時の課題についても以下に振り返ります。

国の「人とペットの防災対策ガイドライン」では、「同行避難」が原則とされており、「同伴避難」(避難場所でペットと一緒に生活・飼養管理する)は明記されていませんでした。また、既存の指定避難所(学校など)では、教育活動の再開や衛生面・アレルギーの問題から、ペットとの同伴避難は難しい状況でした。

※同行避難とは:指定避難所へペットを連れて行くことができるが、避難生活についてはペットと飼い主がそれぞれ別の場所での生活となる

そこで、ペットを受け入れ可能な広い空間を持つ施設がないか、都立高校などを含めて様々な場所について、議員自らリサーチを開始しました。

2.関係者連携・協議

リサーチを続ける中で、墨田区内にペット関連の専門人材を育成しており、地域貢献活動にも熱心なとある専門学校があることを知り、この専門学校に話を持ちかけました

また、政策を作るうえで、行政内での連携も必要になると語ります。

政策を進める上で、「行政内部で、一緒になって動いてくれるキーマンを作る必要がある」

この取り組みを進める上で重要だったのが、行政内の「キーマン」、特に保健所の生活衛生部門の担当者の方の存在でした。その方がこのテーマを「重要な課題」と受け止め、熱心に動いてくださったことが、専門学校と行政の連携が始まる大きなきっかけとなりました。

 

議会での発信も協議を進めるきっかけに寄与したと語ります。

公の場に行政と議会とで課題を共有したということが、課題解決に向けた協議を進めるきっかけになった

 

3.協定締結と運用準備

協定締結はゴールではなくスタート

「災害時ペット避難協定」が締結され、これは東京23区で初めての試みとして注目を集めましたが、あくまでもこれはスタートであると語ります。

具体的な運用準備(「避難所スターターキット」作成、受け入れ上限数や事前登録などの課題整理)は、これからの課題となっているようです。

また議員と行政職員、団体(企業など)とのかかわり方についても

議員は協定締結だけで満足せず、「実際に災害時に機能すること」「 運用に向けた準備の重要性」を提起し、継続的に関与している。

行政では人事異動により担当者が変わることがある一方で、議員が過去の経緯を把握し、継続的に関与することが、このような長期にわたる取り組みを推進する上で重要となるといいます。

この事例からわかるように、政策実現には、議員の課題提起と関係各所をつなぐ調整力、行政の制度設計・実行力、民間の持つ専門性やリソースが不可欠です。

 

 

企業が議員や行政と連携するためのヒント

官民連携・官民共創を通じて、企業のソリューションを社会課題の解決に役立てたいとお考えの担当者様へ、これまでの議論や具体的な事例からいくつかのヒントをご紹介します。

自治体の計画を読み解き、政策形成サイクルを意識した提案を

行政は計画に基づいて様々な事業を行っていき、

  1. 実行した事業を振り返る
  2. 新しい政策を作る
  3. 実行

といった政策形成のPDCAサイクルを作っています。

そのため、「今はこうやっているけれども、こういうやり方もあるんじゃないですか?」などその政策形成サイクルに当てはまる提案をしていくと良いです。

行政計画を見ていただくと参考になることがありますので、自治体のホームページなどで見てみることをお勧めします。行政計画から自社の事業やソリューションで貢献できそうなこと、課題解決できそうなところを探していくと連携の糸口となる可能性がみつかるかもしれません。

また、行政職員は日々の業務で多忙なことも多いため、国の政策動向や補助金制度など、関連情報を一言添えて提案すると、職員の方々が企業からの提案の重要性を理解しやすくなる場合があります。


新しい発想を行政に提案する

議員や行政職員は、日々の業務や既存の枠組みの中では気づきにくい新しい課題や解決策があることを認識しています。

特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)や特定の専門分野(本事例の動物、あるいは教育、環境など)では、民間の持つ技術や知見、そして柔軟な発想が不可欠です。

「行政では考えられなかったようなこと」、つまり民間ならではの斬新なアイデアこそ、社会課題解決のブレークスルーとなる可能性があります。

また東京都は独自の先進的な取り組みを多く行っており、そこでの事例が国の政策に影響を与えることもあります。その自治体の政策や助成制度を参考に、連携の可能性を探るのも良いでしょう。

 

まとめ:議員と連携して官民共創を実現する

企業の持つ革新的な技術やサービス、そして何よりも社会を良くしたいという「志」は、社会課題の解決にとって不可欠なものです。自治体議員は、その「志」を住民の声や行政のニーズと結びつけ、政策として具体化する上で、強力なパートナーとなり得ます。
 
今回ご紹介したペット避難協定の事例が示すように、議員、行政、企業、そして住民がそれぞれの強みを活かし、手を取り合う官民共創は、行政だけでは成し遂げられない大きな成果を生み出す可能性を秘めています。
 

株式会社issuesは、社会課題解決に関心のある企業と、意欲ある議員との最適な官民共創の支援しています。「どの議員に相談すれば良いか分からない」「具体的な連携方法を知りたい」など、お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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