はじめまして、元目黒区議会議員でissuesメンバーの田添と申します。目黒区議時代は、市民(区民)の方の声、自治体の財政や仕組み、自治体の事例など、さまざまな角度から行政への提案を行なってきました。議員になる前は民間企業で働いていたので、就任当初は自治体独特のルールに戸惑いました。自治体が目指す「住民福祉の向上」「地域の課題解決」にはこの独特のルールを超えて、多種多様なプレイヤーとの連携していかなければ進みません。issuesメンバーとして、「自治体との連携の仕方がわからない」「自治体は顧客先になり得ない」と思っている方と自治体の距離を縮めるのが今の私のミッションです。
「行政視点から」と言っても自治体の方針や業務を知っていただこうと思っているわけではありません。先ずは、意外なサービス・製品でも、行政の目指す「住民福祉の向上」「地域の課題解決」を共に達成できることを事例でお伝えさせてください。
お昼休みに買いに行ったり、職場に届けたられたりするお弁当。このお弁当がお子さんのいるご家庭の負担軽減という目的で自治体に導入された事例です。導入された先は、自治体が運営している「学童保育クラブ※」です。目黒区内だけでも48施設ある学童保育クラブは、小学生が放課後に過ごす場所を提供します。小学校が終わったこどもたちが学童保育クラブに来て、宿題をしたり、遊んだりし、18時頃には帰宅します。利用の要件があり、最も多いのは保護者が働いていて日中は家を不在にしているということです。
※児童福祉法に基づいて自治体で運営される。正式名称は「放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)」
日頃は学校で給食を食べて放課後は学童保育クラブに通うこどもたちですが、夏休みや冬休み、または振替休日など学校がお休みの時は、お弁当を持参して朝から学童保育クラブに行きます。私自身、仕事をしながら3人のこどもを育てているので、こどもたちに朝ごはんを食べさせて、食中毒に気をつけながらお弁当作って、たまに学童保育クラブに行きたくないと言い出すこどもをなだめすかして送り出す毎日は大変で、(働いているからこどもたちを学童保育クラブに通わせているのに、いつもより早く起きてお弁当を作ってむしろ負担増えてるんだけど。夏休みだからと言って仕事が減るわけではないのに....日頃の給食がありがたい....早く給食始まって.....疲れた.....)と思っていました。ちなみに、今は何でもスマホで注文をすると届く時代です。「学童保育クラブにお昼頃にお弁当が届くように手配したらいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、学童保育クラブではそのような個別の手配は受け付けてくれません。
お弁当作りが負担....と思っていたのは私だけではなく、同じ学童保育クラブに通っている保護者の方から、また、面識のない区民の方らからもご要望をいただくことがあり、この声を持って自治体に宅配弁当の注文を可能にすることを提案をしました。また、私と同様に各自治体で声を挙げている地方議員を複数名知っています。
目黒区での経緯を書き始めると長くなるのでここではお伝えしませんが、区民の声、議員からの要望を受け、トライアル実施が開始されました。そして、保護者へのアンケートなどを繰り返し、本格実施に向けて入札が行われました。そしてあるお弁当屋さんが選定され、2025年の夏休みに間に合うタイミングで「お弁当屋さんの紹介と受入れ」が正式に始まりまた。現在、お弁当を
希望する保護者は学童保育クラブから紹介されたお弁当屋さんにスマホから発注と支払いを行い、お弁当屋さんはまとまった注文を学童保育クラブから受けてお弁当を届け、自治体はこの仕組みを整え何かトラブルがあったときは介入をする体制で動いています。
| お弁当宅配による変化 | アウトカム | |
| 保護者 | お弁当屋さんのシステムから直接注文(実費負担) | お弁当作りから解放! |
| お弁当屋さん | 区が区内の全学童保育クラブの全保護者に紹介してくれる |
新規販売先が一気に増加! |
| 自治体 |
予算ゼロで保護者サービス向上 |
お金をかけずに保護者負担軽減、子育て支援の推進 |